抗議声明
「即位・大嘗祭違憲訴訟(国家賠償請求裁判)」不当判決に抗議する
本日、東京地裁民事第 6 部・中島崇裁判長は、「即位・大嘗祭違憲訴訟」の国家賠償請求事件部分に対し、棄却判決を言い渡した。
私たちはこの不当判決に対して強く抗議するものである。
私たちが提起した本訴訟は、2019 年に強行されてしまった「即位の礼・大嘗祭」をはじめとする一連の天皇の「代替わり」儀式が、日本国憲法の政教分離、主権在民原則に対する重大な違反行為であることから、「納税者基本権」と「基本的人格権」に基づいて、一連の儀式への違法な国費支出差し止めと、当該儀式がもたらす人格権侵害に対する国家賠償を求めて、2018年に提訴したものである。これに、「代替わり」関連の儀式である 2020 年の「立皇嗣の礼」についても新たに提訴し、本訴に併合された。
しかし裁判所は、私たちが一体のものとして提起した裁判を勝手に分離し、とりわけ「納税者基本権に基づく差止訴訟」部分に関しては、一度の口頭弁論も開かれないまま、却下・棄却させられてしまった。そして、「人格権に基づく差止訴訟」部分も棄却され、残りの「国家賠償請求」部分の判決が、本日言い渡されたのである。
私たちは、何よりも国の行為について住民訴訟を提起できないことは、法の欠陥といわなければならない。
国側は、本件諸儀式は「個々の国民」に向けられたものではなく、たとえ宗教的感情を害するものであったとしても、「具体的権利侵害」はないとする。諸儀式が個々の日本国に居住する人間に向けられたものでないならば、なぜかように多額の国費を費やしてこのような儀式を行なう必要があるというのか。儀式を行なう側は、その効果を認識しているからこそ行なうのである。
政府の式典委員会は「各式典が、国民こぞって寿ぐ中でつつがなく挙行できるよう」に協力を求めていたし、儀式を賛美する言論はメディアを通して報道され続けた。社会的な同調圧力が大きく作りだされたのであり、まさしく祝意は強制されたのである。
こうした国の行動を規制することが裁判所の本来の役割であるにも関わらず、裁判所は国の主張をそのまま追認し、内容に踏み込まず形式的な判断を下した。
我々は、本件不当判決に対し強く抗議するとともに、あらためて裁判所の真摯な対応を求め、さらに闘っていくことを宣言する。
2024 年 1 月 31 日
即位・大嘗祭違憲訴訟の会
即位・大嘗祭違憲訴訟弁護団