天皇代替わり巡る訴訟・歴史に刻まれる意思(東京新聞 190228)

〈……前回の代替わりでも同様の訴訟が各地で起こされた。その一つ、大阪での訴訟では二審で『(政教分離に反するという)疑義は一概に否定できない』という原告側の主張をくんだ判断が示されている。しかし……護憲派の中にも、きな臭さを増す現政権に明仁天皇が抗っているという見方があり、それも異議の勢いを削いでいる。そんな空気を察知してか、裁判所は五日、口頭弁論も開かず、差し止め訴訟を却下した(原告側は控訴)。
…(集会は)…天皇個人の人格がどうであれ、制度への疑問や異議申し立てはあって当たり前ではないかという思いに貫かれていた。当然のことと思う。
 しかし、気づくと、そうしたことすら公言しにくい時代になってはいないか。現に東京では、天皇制を批判する反戦団体の車両が右翼団体に繰り返し襲撃されている。訴訟の見通しが厳しいことは予想していたという。では、なぜ提訴したのか。「私たちの言葉を公的な記録として残しておくためです」。原告の一人は静かにそう語った。〉

東京新聞20190228

2/25に第一回の即位大嘗祭違憲訴訟の口頭弁論が行なわれました

この日の裁判は東京地裁103号の広い法廷。裁判の開始前に、裁判所前に集まってならんで入廷しました。その後、傍聴券を受け取って法廷へ。

第一回ということで、原告からの意見陳述。
最初に原告代表の佐野通夫さんが立ち、今回の訴訟に対し、裁判所が国費支出の差し止めを求めた請求をまったく一方的に分離し、さらに請求を却下したことを厳しく批判。続けて、本来はすべての政治的権限を否定されているはずなのに、このかん天皇や皇族が前面に立ち現れ、その政治意思を実現しようとしていることの問題を、憲法論から展開しました。
また、堀江有里さんからは、キリスト者として、かつての日本基督教団が天皇の名のもとに戦争協力させられる中で成立させられた歴史をふりかえり、天皇制への翼賛への批判が話されました。さらに、天皇制が女性差別、女性の権利の侵害とともにあること、またそれは同時に異性愛主義による性差別としても存在しているということを話されました。

続いて、弁護団からは、吉田弁護士が、さまざまな論点から現在の天皇制が差別や抑圧のシステムをつくっていることを指弾。酒田弁護士からは、天皇制を議論することすら委縮させられている現在、今回の訴訟が現在ある唯一の天皇代替わりを論じる場であり、だからこそ民主主義のためにもこの訴訟が重要であると述べました。

裁判後には弁護士会館で報告集会。たくさんの豊かな発言がありました。詳しくはまたあらためて報告します。

 

東京地裁による2月5日不当決定(国費支出差し止め請求部分)

「即位の礼・大嘗祭違憲訴訟」のうち、一連の天皇「代替わり」儀式に対する国費支出の差し止めを求めた部分に対する、東京地裁の2月5日の不当きわまる判決文は以下の通りです。

190205即位大嘗祭違憲差止請求事件・判決 → ダウンロードはここから

 

「即位の礼・大嘗祭違憲訴訟」分離、差し止め請求却下決定を糾弾する!

東京地裁による「即位の礼・大嘗祭違憲訴訟」分離、差し止め請求却下決定を糾弾する!

「即位・大嘗祭」違憲訴訟の会
 2019年2月8日

 東京地裁(民事38部・朝倉佳秀裁判長)は2月5日付けで、昨年12月10日に私たちが提訴した「即位の礼・大嘗祭違憲訴訟」のうち、一連の天皇「代替わり」儀式に対する国費支出の差し止めを求めた部分について、ただの一度も口頭弁論を開かないままに、「訴えを却下する」との決定を下した。
 私たちの訴訟は、即位の礼・大嘗祭儀式をはじめとする一連の儀式全体の違憲性を問いただし、儀式に対する国費支出の差し止めと、合わせて、すでに進行している儀式の準備によって生じた損害賠償を求めるものである。しかしながら裁判所は、一体であるべきこの訴訟を勝手に分離させ、前者差し止め請求を「行政事件」として、後者損害賠償請求を「一般民事事件」として、別々の部に係属させた。弁護団・原告はそれを不当として、ふたつの裁判を併合するように申し立てを行ってきたところである。
 損害賠償請求については、2月25日(月)に1回目の口頭弁論が開かれる予定であるが、それに先立ち、今回東京地裁は、行政事件部分に関して請求却下の決定を下した。その理由としては、法律は、原告らが主張するような「納税者基本権」などの権利を保障していない、また、国費支出の違法性を理由として支出差し止めを求める訴訟を認める規定も存在していないので、本件訴えは不適法であり、「口頭弁論を経ないでこれを却下する」ことにしたというのだ。
 前回の即位・大嘗祭訴訟においても、結果的に「納税者基本権」は認められなかったものの、口頭弁論の過程、あるいはそれをふまえた判決文において、「納税者基本権」の是非について一応の検討はなされている。しかし今回の地裁判決は、そうした立場にさえ立たず、文字通りの「門前払い」をくわせたものである。
 今回の決定が、「代替わり」儀式の本格的な開始を前に、儀式それ自体への異議申し立てに議論の余地はない、とりわけ天皇制に関わる問題に対しては、一切の議論をすることもせずに「前例を踏襲」するという、これまでの国・政府の立場を追認するものでしかないことは明らかだ。
 私たちは、この不当判決に対して抗議するとともに、ただちに控訴の準備をおこなう。さらに2月25日の口頭弁論の場においても、「即位の礼・大嘗祭」等儀式の違憲性を主張して闘い続けることを明らかにする。

 

2/25に即位大嘗祭違憲訴訟の第一回口頭弁論が行なわれます

即位大嘗祭違憲訴訟
◎日時:2月25日 14時30分~
◎場所:東京地裁 第103号法廷
 ※傍聴券が配布されますので、遅くとも14時までに東京地裁に来てください。

 いよいよ即位大嘗祭違憲訴訟の第一回口頭弁論が行なわれます。今回は、事務手続きの後、弁護団による訴状の陳述、さらに2名の原告からの意見陳述がなされる予定になっています。
 ぜひとも傍聴を! この裁判をともに支えてください!

 公判後、弁護士会館において報告会が行われます。詳細については、2/25当日に違憲訴訟の事務局にお問い合わせください。

 

2/16に違憲訴訟報告と原告交流の集まりを持ちます

 裁判の開始に先立ち、訴訟の会では2月16日(土)13時30分から、文京区春日(後楽園)の文京区民センターにて、提訴報告と交流をかねた集会を持ちます。弁護団や呼びかけ人の発言を受け、原告同士が意見交換できるような集まりにしたいと思います。ぜひご参加下さい。

2月16日原告交流会( → ダウンロードはここから)

即位大嘗祭違憲訴訟の第二次原告を募集します

第2次締め切りは、2019年2月28日(木)です!

 2019年4月30日に天皇が生前退位し、5月1日に皇太子が新天皇として即位することになっています。この日、「三種の神器」などの受け渡しの儀式がなされ、新天皇が「三権の長」に対して即位を宣言する儀式が行なわれます。また秋には、10月22日に「高御座」に立って内外に即位を宣言する儀式とパレードと宴会が行なわれます。
 また、11月14日から15日にかけて、天皇の「霊」を受け継ぐ皇室祭祀「大嘗祭」のクライマックスである「大嘗宮の儀」が行われます。これらはすべて「国事行為」または「皇室行事」として、国の予算を投じておこなわれるものです。

 私たちは、一連の儀式が、憲法の「政教分離原則」「主権在民原則」からみて、多くの問題をはらんでおり、これに対する税金の支出は明らかな違憲の行為であると考え、国を相手どり、一連の儀式に対する税金の支出に対する差し止め請求と、損害賠償を求める訴訟を、昨年12月10日、241人の原告をもって東京地裁にたいしておこしました。
 私たちは、さらに全国の皆さんに、ぜひこの裁判に、原告として、あるいは支援者として加わって下さるよう、呼びかけます。第2次原告を募集します。 “即位大嘗祭違憲訴訟の第二次原告を募集します” の続きを読む