即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS No.16

即位・大嘗祭違憲訴訟の会のニュース16号です。
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裁判所はすべての証人を採用せよ!
第 13 回口頭弁論報告

 2 月 13 日、国賠訴訟 13 回目の口頭弁論が東京地裁 103 号法廷にて開かれた。この日は寒いうえに雨というあいにくな天気だった。それも災いしてか、加えて原告のうち4人は傍聴席ではなく柵内に入っていて、傍聴席は 20 数人とさびしかった。おそらくこれまでで一番少なかったのではないだろうか。次回は満席になってほしい。法廷自体は「打ち合わせ」的なやりとりが続き、短い時間で終了。雨のため、裁判所前の情宣も中止となった。
 原告側の弁護団が出した膨大な書面の確認で、ページをめくる音とひそひそ声だけが聞こえる時間が長く感じられる。そんな中、私たちの弁護団は証人尋問の必要性を裁判官に粘り強く訴えてくれた。しかし、裁判官は原告の陳述や尋問の必要性は認めるが、学者証人や原告外の陳述は書面だけで十分であり陳述・尋問は不要という判断を示した。
 これまで陳述・尋問の実現については未確定のまま、弁護団は多忙な中で意見聴取や法廷での証言の要請、書面作成など準備を進めてきた。多くの時間とエネルギーを費やして提出された書面を裁判官や被告に読ませるだけでは本当にもったいなさすぎる。原告や要請を受けてくれた証人たちの、法廷で直接口述し訴える声・言葉を傍聴席で聞きたいし、傍聴席に座る原告・支援者にはその権利があるはずだ。ぜひその場で共有したいと切望する。
 法廷終了後は日比谷図書文化館に移動し、報告集会。実際に裁判を傍聴していてもわからないことが多く、この報告集会は裁判の状況を適切に把握できる唯一の場ともいえる。その日の裁判で何がやりとりされ、その結果どのような状況に至っているのかなど弁護団から説明を受け、会場からの質問や意見に応えてくれる場だ。
 この日もこの間の裁判の経緯や今後の流れについて弁護団から簡単に説明があり、提出された準備書面の内容説明も受けた。政教分離原則がもつ「保護される権利」「建国神話」・「記紀神話」の問題など、違憲性につながる部分を広く深く展開されていることがよくわかった。そして違憲の「祭典」として新しく取り上げられた「国民祭典」について、民間主催とはいえその民間団体の一つが多くの国会議員など政治家たちによって構成されていること、各省庁が後援という形で関与していること、「記紀神話」に基づく「建国神話」を現天皇の水研究に繋げながら紹介しているスライドショーなど、その違憲性を追及していくことの説明がなされた。
 また、「国民こぞって祝う」ことを当たり前とする一方で、そういった天皇制のあり方に異議申し立てする人々への弾圧がたびたび起こされている。そういった「天皇弾圧」とも呼ばれる事件が、即位・大嘗祭の一連の儀式の違憲性を立証するものであるとして取り上げられ、当事者尋問も準備されていることなど解説がなされた。とても画期的なことだと思う。
 裁判はいよいよ違憲立証に深く踏み込み、追及する場となっていく。どうぞ、お見逃しなく!そして、傍聴席を埋めつくし、裁判官に、いい加減な判断はできないという空気を感じとらさせていきたい。

 

23年4~6月の期日が決まりました

みなさま
即位大嘗祭違憲訴訟の次回期日は以下の通りです。

1)4月12日(水) 11時から 103号法廷
原告・学者証人尋問期日(予定)
2)5月31日(水) 14時から 103号法廷
3)6月21日(水) 14時から 103号法廷

弁護団・原告団はただいま鋭意準備中です。傍聴行動にご参加ください!

即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS No.15

即位・大嘗祭違憲訴訟の会のニュース15号です。
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原告・弾圧当事者・専門家証人を申請

 前回 9 月 21 日の第 12 回口頭弁論期日において、今後の裁判進行について以下のような協議がなされました。
 原告側主張については大筋出されているが、追加の書面を出す(歴史的経緯等に関する主張の補充、政教分離訴訟に関する過去の判例と今回の実態との比較など)。また証人として、専門家、原告、天皇制弾圧当事者について人選しているところである。被告側が求釈明に答えない状況が続いているので、最終的には確定しきれない部分があるが、書面と人証申請など、11 月末までにできる限り出す。
 以上のようなスケジュールに基づき、弁護団は奮闘しています。追加の主張、原告及び弾圧当事者の証人候補者の選定を予定通りに終えて、現在、それらに関する証拠書類等の準備、陳述書に基づく立証趣旨・尋問事項の検討などを進めています。さらに、専門家へのヒアリングや意見書執筆依頼に関しても、着々と作業を進めているところです。
●陳述書をお寄せ下さい
 とはいえ、原告の天皇制批判に対する思いはさまざまであり、したがってそれを反映した主張・さらにはその立証についても、多様なものとならざるを得ません(この訴訟では、国賠分に限っても、すでに 16 本の準備書面が提出されています)。裁判所から、主張は十分尽くしただろうなどと言われても、正直、そうだと言い切れない部分が残ります。
 ここで、原告の皆さんには、ぜひとも陳述書を書いて送ってくださるよう、再度訴えます。
 字数に制限はありません。短いものでも構いません。内容は原告としての思いを自由にお書き下さい。ワードなどのデータを、事務局宛てにメールなどでお送りください(e-mail: sokudai@mail.zhizhi.net、郵送の場合は〒 202-0022 東京都西東京市柳沢 2-11-13 即位・大嘗祭違憲訴訟の会)。原告の多様な声が、裁判所に対する圧力ともなります。今月中にいただいたものを、まとめて次回弁論の場に提出したいと思います。
 裁判はいよいよ後半戦に向かっています。引き続き、本訴訟への注目をお願いします。

即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS No.14

即位・大嘗祭違憲訴訟の会のニュース14号です。
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求釈明に応えようとしない被告側を批判
第 12 回口頭弁論報告

 9 月 21 日(水)は国家賠償請求裁判第 12 回口頭弁論期日。はじめに原告側から、今回提出の準備書面 15、16 の要旨を簡単に述べた。
・吉田哲也弁護士の準備書面 15 要旨陳述 
 《立皇嗣の礼は旧皇室典範の立儲令に準拠した高度に宗教的行為だった。これを公金で行ったことの違憲性》と、《皇居前広場で行われた「天皇即位を祝う国民祭典」を、「国民こぞってお祝いする」観点で国が称揚し後援した違法と、会場に天皇夫妻が来て挨拶する演出に国はどう関与したか》を問うたのに対し、被告側答弁は「違法は原告らの法的主張にすぎない、と解した上で争う」だった。しかるに未だ沈黙したまま被告側の認否がない。「国民こぞって祝う」のは天皇権威を認めさせる ” 同調圧力 ” となり、思想良心の自由の侵害になる。被告が改めて求釈明に応じるよう要請する。
・浅野史生弁護士の準備書面 16 要旨陳述 
 《天皇制と身分秩序》について、明治以来政府が万世一系の世襲天皇制で血統差別・身分差別を定め人民支配に利用してきた歴史を述べる。祖先を天照大神とする天皇を「大家長」に位置づけ、民衆はその下で家父長制の家族道徳を教育され、日本独特の国家家族観あるいは「家」制度国家観を国民支配のイデオロギーとした。天皇制が血統差別、身分差別の根源となり、家父長制による家族内差別、本家分家差別など様々な差別社会が定着した。政府は、家父長制の「家」を社会の構成単位とし、戸籍制度により個人を家単位で登録、家族集団で個人をしばり支配した。こうした天皇制による国民支配服従の国家秩序を、戦後改廃して基本的人権と国民主権を原則とする現憲法が制定された。だのに相変わらず天皇を神聖血統の家長と尊崇させるような一連の代替わり儀式挙行は違憲違法であると主張した。《天皇と差別》の関連はさらに深めたいので、追加の準備書面提出を考えている。

 

即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS 号外

即位・大嘗祭違憲訴訟の会のニュース 国葬批判号外です。
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国葬批判号外

【声明】
安倍晋三の「国葬」に断固反対する

 7 月 22 日、岸田文雄首相は安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)を行なうと閣議決定した。
 即位・大嘗祭違憲訴訟原告団、同弁護団は安倍晋三の「国葬」に断固反対する。
 そもそも「国葬」なる概念は、政教分離などを考慮して日本国憲法施行の 1947 年に失効した「国葬令」によって「皇族」および「国家ニ偉功アル者」が死亡したときに「特旨ニ依リ」天皇が「賜フ」ものであった。なぜ、この勅令が失効しなければならなかったかは考えるまでもなく、日本国憲法の趣旨に反するものであったからである。それを内閣府設置法(第四条第 3 項三十三「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く )」)などによって復活させることはできない。
 そもそも国が、特定の個人を、公費を使って葬儀を挙行するということは、国によって記念し顕彰されるべき死の序列化・価値化を意味するものであり、決して許されない。私たちは、日本国憲法に反して国費を使って行なわれた即位・大嘗祭の違憲性を政教分離などの視点から争っている。同様に安倍晋三の「国葬」(国葬儀)も許すことはできない。
 日本国憲法の下で、「国葬」として行なわれたのは、1952 年の明仁の立太子礼の際に「臣茂」と記して激しい批判をあびた吉田茂の葬儀が 1967 年に行なわれて以来だという。まさに安倍も教育基本法改悪、戦争法制定、国会開催要求に対する不当不開催等々、日本国憲法の趣旨に逆らう諸行為を重ねており、吉田並みの日本国憲法に逆らう者である。日本国憲法に逆らう者が「国葬」とされるというならば、それは正に「国葬」を行なう首相(吉田の際の佐藤栄作、安倍の際の岸田)が日本国憲法に反していることに他ならない。また、安倍は森友学園、加計学園、桜を見る会、河井選挙買収、黒川弘務検事長問題などさまざまな未解決の疑惑にかかわる中心人物で、日本の国政を辱めた人物であり、カルトの広告塔・庇護者であって、それがその死の原因でもあった。いまなお政府はじめ多くの領域にそのカルトが巣食っている中で、彼らが推進する「国葬」など言語同断である。自民党による安倍政権美化と疑惑隠蔽対策と言わざるを得ない。「国葬」によって多くの人々とともに私たちが訴えてきた安倍政治への批判が国による顕彰にすり替えられるといった許し難い事態が懸念される。
 繰り返す、即位・大嘗祭違憲訴訟原告団、同弁護団は安倍晋三の「国葬」に断固反対する。

 

『安倍靖国参拝違憲訴訟・東京/控訴審・最高裁記録集/2017~2020』発刊

『安倍靖国参拝違憲訴訟・東京/控訴審・最高裁記録集/20172020』がいよいよ出ました。
 

『安倍靖国参拝違憲訴訟・東京/控訴審・最高裁記録集/20172020』(即位・大嘗祭違憲訴訟の会

20131226日、安倍晋三首相は、突如靖国参拝を強行。国・安倍晋三・靖国神社を被告として、633人の原告と15人の弁護団による、長きにわたる裁判闘争が始まりました。

 裁判は、20191121日、最高裁によって上告棄却され、終結させられてしまいましたが、一審終結後に刊行された裁判記録集の続編として、このたび『安倍・靖国参拝違憲訴訟 控訴審・最高裁記録集』が刊行されました。

 前編同様、訴状や、口頭弁論における意見陳述などを網羅し、さらに、訴訟の会発行のニュース全号、詳細な索引を付し、前編を上回るボリュームになっています。

 運動の肉声の詰まった貴重な資料です。ぜひご購入ください。

B5判/392ページ

頒価:2,500円(送料とも。郵便振替料はご負担ください。)

申込方法:郵便番号・住所・お名前・電話番号を明記の上、以下までお申し込み下さい。

 メールアドレス:sokudai@mail.zhizhi.net

事務局住所:202-0022東京都西東京市柳沢2-11-13「即位・大嘗祭違憲訴訟の会」

郵便振替用紙を同封して送らせて頂きますので、事務処理上、10日位内にお振込下さい。

『一審記録集集』『控訴審・最高裁記録集』両方をお申し込みの場合、4,500円(送料とも。郵便振替料はご負担ください。)

なお、『安倍靖国参拝違憲訴訟・東京/一審記録集20142017』は残部僅少の為、在庫切れの場合、お断りする場合がありますことをご承知ください。

 

即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS No.13

即位・大嘗祭違憲訴訟の会のニュース13号です。
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再度の裁判官交代と「弁論の更新」
第 11 回口頭弁論報告

 5月23日(月)、東京地裁103号法廷で国家賠償請求裁判第11回口頭弁論が開廷された。今回も開廷に先立ち裁判所前で、30分ほどの情宣活動を原告団有志で行った。最終的には10名ほどが集まり、昨年作ったリーフレット『「即位大嘗祭違憲訴訟」とは』を配ったりした。スピーチなしで、ただ横断幕を広げ、「天皇の即位大嘗祭違憲訴訟をやっています」などと小声で言いながらリーフを配るだけの行動だ。だけど、ごく僅かだけど必ずいる、受け取ってリーフを開きながら去っていく人の後ろ姿を確認するたびに、毎回やることに意味があるように思えてくる。これがなければ、こうやって裁判とは無関係の人にリーフを手渡すこともないのだ。めげずにこれも続けたい。  さて、本題の裁判。またしても裁判長が交代した(武藤貴明裁判長から中島崇裁判長へ)。今回は期日前に弁護団に連絡が入ったらしい。こんな当たり前の連絡がなされなかった経験をもつ私たち訴訟団は、これだけをもってしても、この国の司法への信頼など持てないままにいる。そして第11回目の弁論。弁護団は新しい裁判官に対して「更新弁論」を主張し、10回分の主張(膨大な書面の数々と弁論)を20分か30分程度でまとめた。それは私たち傍聴席にいた原告にとっては復習の機会ともなり、よかったのではないかと思う。  まず酒田弁護士から更新弁論を行うことが伝えられ、象徴天皇制と政教分離についてにはじまって、大きくは3点について、吉田弁護士、土田弁護士、浅野弁護士からそれぞれ弁論が展開された。

即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS No.12

即位・大嘗祭違憲訴訟の会のニュース12号です。
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何もしない、何も言わない被告側代理人

 第10回口頭弁論に至るまで原告側弁護団の準備書面作成のための測り知れない労苦が積み重ねられた。
 口頭弁論に先立って提出された第11準備書面において、政府が今回の代替わり諸儀式が「皇室の伝統に即した」と主張したのに対して、長い歴史において代替わり諸儀式は一様ではなく様々な変遷があったこと登極令が定めた近代天皇制における代替わり諸儀式は、絶対的神権を持った天皇統治を現すもので、長い歴史の中でも特異なものであることつまり、登極令に則った今回の諸儀式が「皇室の伝統に即した」とは言えないことが主張された。
 第12準備書面においては、日本国憲法が定めた象徴天皇制においては国家神道体制下の政治・道徳・精神的権威を「神道指令」が排除させた延長線上にあり、天皇の地位と役割は憲法の定める国事行為に極めて制限されたものであって、天皇が行う「儀式」も宗教性が入り込む余地のないことが主張された。
 第13準備書面においては、日本国憲法の政教分離原則と象徴天皇制との関係において今回の代替わり諸儀式が逸脱したものであったことを皇室財政との関係においても説明した。この三つの準備書面を合わせると堂々129頁に渡る超大作。まさに弁護団の血と汗と涙の結晶である。本当に頭が下がる。
 それに対して、被告側代理人は何もしない、何も言わない。第10回口頭弁論においても準備書面11-13の要点が原告側弁護団から主張され、裁判長も、「では、一通り原告側の概ねの主張が出たわけですので、次回は、被告側からこれらの主張に対して認否を含めて主張されるということでよろしいですか?」と問うと、被告(国)側は、「今のところ何らかの主張は予定しておりません」と臆面もなく答える。絶句した。今までも何も主張しない、答えない様は異様であったが、今回の口頭弁論も5人も雁首を揃えて、何も主張する予定はないと。さすがの裁判長も「まあ、そうは言っても、せめて法律論の主張の認否については検討をしてもらえませんか」とお願いする。それでも被告側は「検討します」と言うのみ。
 原告側は何冊も本を読み、念入りな主張を整えるために、準備書面を期日まで間に合わせようと血を吐くほどの労苦を重ねた。きっと連日徹夜だったのではと思う。ところが向こうは何もする気もない。
 閉廷後の報告集会で、なぜ、国側は、何も主張もしないのだろうか、との質問が相次いだ。弁護団の説明は「何もしないでも勝てると思っているので、立ち入る必要はない、と思っているのだろう」とのこと。要は「どうせ判事は、大それた判決を書く気もないだろうから、黙っていよう」と、初めから何もしないと決めてかかっている、ということ。これで被告代理人に税金から高給が支払われるのかと思うと、理不尽極まりないと思った。
 口頭弁論前に裁判所前で、裁判のアピールをしていると公安警察が5人も勢揃いして、私たちの記録をあからさまにメモに取り威嚇をした。法廷が終わった後には、裁判所ロビー内にまで公安は入って来て、私たちの動向を追っていた。あの人たちも税金で雇われて、公務員としての貴重な時間を使って、私たち市民の監視をしていると思うと、何とも言えない気になった。
 原告は手弁当で、交通費も自腹で沖縄から、遠くから駆けつける。弁護団もほぼ雀の涙程度の報酬で、計り知れない労苦を重ねる。向こうはメモをとって高給。何もしないで黙っていて高給を得る。しかも私たちの税金から。政府が不要だとは言うつもりもないが、こんなことをやっている政府は心から不要だと思った。
(星出卓也=原告)

「即位・大嘗祭違憲訴訟(第2次差止訴訟)」不当判決に抗議する

「即位・大嘗祭違憲訴訟(第2次差止訴訟)」不当判決に抗議する

即位・大嘗祭違憲訴訟の会
即位・大嘗祭違憲訴訟弁護団

2021年11月17日

 本日、東京高裁小野瀬厚裁判長は、「即位・大嘗祭違憲訴訟(第2次)」の分離された《人格権に基づく差止請求の訴え》に対し、本年3月24日、東京地裁鈴木昭洋裁判長が言い渡した不当な却下判決をそのままに認める控訴棄却を言い渡した。

 私たちはこの不当判決に対して強く抗議するものである。

 そもそも、この《人格権に基づく差止請求の訴え》とは、私たちが一体のものとして提起した国家賠償請求と違法支出差止請求を、東京地裁が不当にも国家賠償請求と支出差止請求とに分離し、東京地裁古田孝夫裁判長が差止請求を却下。私たちの控訴に対し、東京高裁足立哲裁判長が原判決破棄・差し戻しを判決したところ、東京地裁差戻審が、《納税者基本権に基づく差止訴訟》と《人格権に基づく差止訴訟》とにさらに勝手に分離、《納税者基本権に基づく差止訴訟》は一度の口頭弁論も開かれないまま、東京地裁が却下・東京高裁も控訴棄却で確定してしまい、《人格権に基づく差止訴訟》も東京地裁鈴木昭洋裁判長が不当に却下したため、本日の東京高裁小野瀬厚裁判長の控訴棄却判決となったものである。

 そもそも、日本国憲法は第76条第2項で「特別裁判所は、これを設置することができない。」と定め、大日本帝国憲法下の行政裁判所を否定したのではなかったのか。また、国の行為について住民訴訴訟を提起できないのは法の欠缺といわなければならない。

 本不当判決の論理は、諸儀式は「個々の国民」に向けられたものではなく、たとえ宗教的感情を害するものであったとしても、「具体的権利侵害」はないとするものである。諸儀式が個々の日本国に居住する人間に向けられたものでないならば、なぜかように多額の国費を費やしてこのような儀式を行なう必要があるというのか。儀式を行なう側は、その効果を認識しているからこそ行なうのである。政府の式典委員会は「各式典が、国民こぞって寿ぐ中でつつがなく挙行できるよう」に協力を求めていたし、「国民こぞって祝う」という首相の言葉は新聞やTVでもよく読まされ聞かされた。また、儀式を賛美する言論はメディアを通して報道され続けた。これは祝うのが当然という「教育」であり、祝意の強制であり、このような国の儀式にはこの国に生きる者の信教の自由も、思想・良心の自由も保証されない。「思想の強制などで直接不利益を受ける」ような事態にならないように、国の行動を規制することが裁判所の役割ではないか。

 我々は、東京高裁小野瀬厚裁判長の本件不当判決に対し強く抗議するとともに、併合された第1次請求と第2次請求の国家賠償請求部分において、裁判所の真摯な対応を求め、さらに闘っていくことを宣言する。